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野球カードの裏面 「子供扱いしてない」アピールする文章術

 カルビーの「プロ野球チップス」を買うとついてくるの「野球カード」が発売されておよそ40年。カードの裏面は今でこそ打率や防御率など選手の成績紹介欄となっているが、昔は野球少年にとって憧れのスター選手を知る貴重な情報源だった。

 特に1970年代は自由度が高い。例えば東尾修(太平洋)のカードには〈すでに婚約者も決まっており、シーズン後に式を挙げる〉といった“スクープネタ”もサラッと記されている。

 1980年代に入ると、ニックネームや年収、好きな食べ物や歌手など選手たちの素顔を紹介する記述が主流になる。そして1984年には選手を寸評する“ご意見番”が登場。中でも野球評論家・高田繁氏(現在横浜DeNA GM)の批評はスパイスが効いて(効きすぎて?)いる。

 原辰徳(巨人)には〈外角をつかれると弱い〉と弱点を指摘したうえで、〈守りは守備範囲が狭く、ライン寄りに弱い〉と致命的な欠陥を言い放つ。この他、主に投手陣の評論する星野仙一氏や稲尾和久氏も子供向けカードとは思えぬ歯に衣着せぬ物言いを見せる。

 1990年代にカード製作に携わったライターのしゅりんぷ池田氏はこう語る。

「大人っぽい解説や小難しい言い回しをわざわざやっているのが目立ちます。これは主要購買層の子供たちを“子供扱いしていない”ことをアピールするため。ちびっ子たちは野球を通じて大人の世界に触れたい思いがあり、子供扱いされることを嫌いますからね」

※週刊ポスト2015年3月6日号

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