ジャニーズタレントの面々に、「普通っぽくていいんだ」と気づかせたのは嵐です。彼らはアイドルでありながら、格好つけていない。むしろ自虐的なネタを絡めて自分を駄目なキャラにすることも多く、気楽に見やすい雰囲気を作っていますし、それが成功して、ファン以外の人たちにも親しまれる国民的タレントとして定着しました。私が全ジャニーズタレントの中でも、MCとして特に注目しているのが相葉雅紀さんで、彼のゆるゆる感、いい意味でのグダグダ感は、今の時代にとてもマッチしていると思います。
もちろん「普通っぽい」中でも、テクニカルな面も必要です。もともと大半のジャニーズタレントはコメントの瞬発力に優れているのですが、彼らのすごいところは「引く瞬発力」もあるという点です。MCというと、自分が積極的に発言することで番組を進めた方がいいと思われがちですが、実は意図的に引くというのも大事。サッと引いて自分以外の出演者を立てる、パスを出すように誰かにチャンスを与える、他の誰かと被らないようリアクションに徹するなどのスキルは、ジャニーズタレントの強みだといえるでしょう。
なぜジャニーズ事務所から次々に良いMCが出てくるのかというと、彼らは幼いころから集団で活動することが多く、番組にも慣れていて、その中で互いに影響しあったり、勉強しあったりすることができるからです。また、SMAPの中居正広さんのようないいお手本があるので、目標を立てやすいということも大きいでしょう。
「引く技術」というのも、もともとは中居さんがタモリさんを見て習得したもので、彼が後輩たちに道をつくったといっても過言ではありません。このところMCとして注目され始めている関ジャニ∞の丸山隆平さんも、「引く技術」がとても上手なタレントのひとりです。Kis-My-Ft2の北山宏光さんも、出すぎず、中居さんの引く技術をよく見ていると思います。ずっと前に出て目立っているように見えて、実は多くの時間でサッと引いている。他のアイドルグループとの一番の違いはここにあります。ジャニーズタレントの「引く技術」に注目しながら番組を見てみるのも面白いと思いますよ。