覚醒剤売買、振り込め詐欺、売春斡旋、恐喝、裏カジノのテラ銭といった違法収益は売り上げも利益もカウントされることがない。
カネは闇に生まれて闇に消えていく。税務当局はお手上げである。
「トー(10)・ゴー(5)・サン(3)・ピン(1)」とは、すべて(10割)の所得を捕捉されて徴税されるサラリーマン、半分(5割)の自営業者、3割の農林水産業者、1割の政治家という不公平を揶揄する符丁だ。もしここに暴力団を加えるとすれば、「ゼロ(0)」ということになる。
所得ゼロなのにカネはふんだんにある。それを証明するのが暴力団幹部の豪邸、高級車、派手な交遊、愛人を何人も抱えるような生活である。高額の買い物でもローンを組まずにキャッシュで支払う。元税務署員がいう。
「暴力団員だと知らずに不動産購入の原資を聞くと、『親の遺産』や『一時的な借金』などと普通なら通らない説明をされる。そこをもし突っ込めば、“税務署にバカにされた”と面子をかけて反撃してくるから怖ろしい」
※週刊ポスト2015年7月10日号