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2015.09.14 07:00  週刊ポスト

「再増税ありき」の軽減税率論議だが再増税見送りが必要では

 中国は貿易黒字を稼いでいるのに外貨準備高が異常に急減している。8月に人民元を切り下げたが、それ以上に元が売られてしまい、中国人民銀行がドル売り元買い介入を迫られたためだ。裏を返せば、それほど猛烈な元売りドル買い、すなわち資本逃避(キャピタルフライト)が起きている証拠である。

 普通の国で資本逃避が起きれば、経済破綻寸前だ。国の先行きが危ないと感じるからこそ、富裕層や企業が真っ先に自国通貨を売って安全なドルに逃げるのだ。

 そんな状態でも、日銀の黒田東彦総裁は「中国は6~7%成長が可能」と言っている。前職のアジア開発銀行(ADB)総裁時代に対中投資を拡大した事情もさることながら、中国の破綻を認めてしまうと増税が危うくなってしまうからだろう。

 政府が10%増税を決めれば、日銀が目標に掲げる消費者物価上昇率2%の達成は遠のく。かといって財務省出身の総裁として、いまさら増税反対とも言えない。

 黒田総裁にとっても増税問題は「進むも地獄、引くも地獄」である。2016年1~3月期のGDP速報が出る来年5月の判断が山場になる。

■文・長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。

※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号

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