芸能

ビートたけし 談志など強烈個性の実在人物役で起用される訳

ビートたけしには殺人犯、組長などを演じても役に負けない存在感がある

 特別ドラマ『赤めだか』(TBS系・12月28日放送)で2011年に亡くなった落語家・立川談志さんを演じることで話題が集まっているビートたけし。お笑いでもなく、監督でもなく、俳優としてのたけしを考えてみたい。コラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 ビートたけしといえば、言わずと知れたお笑い界の大御所にして、世界的映画監督だが、あらためてたけしを「俳優」として見てみると、「実在人物ドラマのキング」という側面が浮かんでくる。

 衝撃だったのは、1983年のTBSドラマ『昭和四十六年大久保清の犯罪』で、実在の連続殺人犯を演じたこと。その二年後には、やはり実際の事件を題材にした『イエスの方舟~イエスと呼ばれた男と19人の女たち』に主演。「娘を返せ」と声をあげる親族、マスコミに叩かれても「おっちゃん」と彼を慕う女性たちを受け入れた主人公という複雑な役側を演じた。

 1989年には、そのまんま東原作の『ビートたけし殺人事件』で、自分自身として登場。その後、『美空ひばり物語』では、ひばりを陰ながら応援した山口組の田岡一雄組長、なかにし礼の原作の『兄弟~兄さん、お願いだから死んでくれ!』では、豊川悦司演じる弟に巨額の金をせびり食い物にする兄などを演じている。

 実在人物を歴史上の人物にまで範囲を広げれば、『忠臣蔵』の大石内蔵助、『御存知!鞍馬天狗』では、新選組の近藤勇、『あの戦争はなんだったのか』では東条英機を演じている。ちなみに映画『御法度』では、新選組の土方歳三役だった。新選組の表の顔である近藤と、非情な副長として組を陰で引っ張った土方、まったくキャラが違うと言われる両方の役を演じた俳優はとても珍しい。

 たけしの実在ドラマの特長は、社会的に話題なった問題作や巨匠監督作が多いこと。『イエスの方舟』は社会派作品として評価され、昭和60年度文化庁芸術祭芸術作品賞を受賞しているし、『兄弟』も民間放送連盟賞優秀賞など、受賞作品も多い。また、中井貴一が演じる鞍馬天狗と一騎打ちを繰り広げた『御存知!鞍馬天狗』は市川崑、『御法度』は、早くからたけしを俳優として起用した大島渚監督作品だ。

 強烈な実在人物になぜ、ビートたけしが起用されるのか。それは、たけし自身の強い持ち味が、実在人物の存在感やエピソードにぶつかっても負けないからだろう。

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン