国内

モノを持たないミニマリスト なったきっかけとその心理

 すっかり認知された「断捨離」。つきつめて物をもたない「ミニマリスト」も話題だ。そんな中、断捨離という行為に身も心もとらわれてしまう人もいる。

 2月6日からNHKBSプレミアムで放送されるドラマ『わたしのウチには、なんにもない。』の原作コミックエッセイ(KADOKAWA)の著者、ゆるりまいさん(30才)は「なんでもかんでも捨てたい病」を発症した自分と家族の物語を同書の中で描いている。

 宮城県仙台市にあるまいさんの自宅を訪ねた。まいさんはこの家でサラリーマンの夫(31才)、高校教諭の母(57才)、長男(11か月)、猫4匹とともに暮らす。

 4年前に新築した一戸建てに入った本誌記者は仰天した。リビングはフローリングに4人掛けのテーブルといす、壁には大きなテレビとDVDプレイヤー、時計がかかっているほかは見事に何もない。キッチン、洗面所、寝室やそれ以外の部屋も、必要最低限のもの以外は何もない。棚を彩る小物や、壁を飾る絵画はおろか、小さな子供と猫が4匹いるにもかかわらず、おもちゃらしきものも見あたらない。

 究極のミニマリストであるまいさんだが、昔は「捨てられない」人間だった。自宅を新築する前に住んでいた実家は築年数の経った家で、着物や布団など先祖の荷物であふれていた。

 この経験から、物があふれる家が当たり前だと思っていたまいさんだが、高校時代の失恋をきっかけに「捨てる快感」に気づいた。

「交際していた彼との思い出の写真や日記などを思い切ってゴミ箱に捨てたら、なぜか気持ちよくなったんです。“捨て”の快感に目覚めてしまい、家にあるいらない物を次から次へと捨て始めました。“人の物を勝手に捨てるな!”とよく怒鳴られました」(まいさん)

 当時、同居していた祖母は「もったいない」が口癖で、プリンのカップやコンビニでもらったスプーンなどをこまめに取っておいていた。まいさんがこっそりカップを捨てると祖母が「何するんだ」と怒り、けんかが絶えなかった。

 家族との衝突があまりに多く、まいさんは「もうムリだ」と自宅の片づけをあきらめた。就職した地元の広告会社はブラック企業で超多忙の日々が続き、気づいたら自分の部屋が汚部屋になっていた。散らかった自宅を見て、「なんでこんなに汚いんだ!」と癇癪を起こしてはひとりで泣いていた。

 そんな彼女の人生を大きく変えたのは2011年3月の東日本大震災だった。まいさんが5年前のあの日を振り返る。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン