旧友の安倍首相に干された時期、石原氏は会合で「晋ちゃんの意地悪は天下一品なんだよな」と愚痴った。
ところが、甘利氏のスキャンダルが発覚すると、安倍首相は表向き「辞めさせない」と徹底して甘利氏をかばう姿勢を見せながら、「甘利がダメなら石原がいるじゃないか」と切り捨てに動いた。自民党長老は舞台裏をこう語っている。
「総理は側近を通じて甘利氏に『たとえ支持率が10ポイント下がっても守るから』と伝え、甘利氏に安倍政権を守るには自分が辞めるしかないと決断するようにうまく仕向けた」
事実、当時の動きを検証すると、首相は甘利氏辞任表明の3日前、NAISの会の石原氏、塩崎氏と会食し、党幹部の間では「後任は石原」と伝わっていた。その経緯が麻生氏の石原批判の伏線になった。
「甘利さんを高く買っていた麻生さんはこの仕打ちに衝撃を受けた。というのも、甘利さんと石原氏は山崎派の跡目を激しく争い、敗れた甘利さんは『石原とは一緒にやれない』と仲間を連れて派閥を割った。
その甘利さんは安倍内閣で重用されたことで石原氏を見返していたのに、安倍総理はよりによって後任に甘利さんの仇敵の石原氏を据えた」(自民党ベテラン)
※週刊ポスト2016年2月26日号