国際情報

ハリウッド映画の収入左右する中国配慮 日本はオマケ状態

中国の映画館のHPより(映画『オデッセイ』)

 ハリウッドに「異変」が起きている。多くの大作に不自然に思える「中国ヨイショ」が盛り込まれているのだ。

 たとえば、現在、日本で公開中のマット・デイモン主演の映画『オデッセイ』は、火星でのミッション中に嵐に遭遇して一人取り残されてしまった米国人宇宙飛行士をNASA(米航空宇宙局)が救出しようとするストーリー。

 興味深いのは、救出作戦が困難に直面した際に、中国の宇宙事業を担う国家航天局がNASAに協力を申し出て、国家機密であるブースター(発射台)を惜し気もなく提供するシーン。クライマックスでは、固唾を飲んで救出劇を見守る米中両国の国民が交互に映し出される。

 また、アカデミー賞7部門を受賞した『ゼロ・グラビティ』(2013年)では中国は米国の「味方」、ロシアが「悪役」として描かれ、中国製の宇宙船が大活躍する。かつて中国人がハリウッド映画に登場する際は「土地の人」や「カンフーを使う悪役」が定番だったが、今やその扱いはすっかり様変わりしている。

 そうした背景には、チャイナマネーのハリウッド進出が挙げられる。『トランスフォーマー』(2014年)など多くの映画が米国と中国企業の共同製作であり、「その際には、中国を映画の舞台とすることが契約の条件になることもある」(映画関係者)という。

 破竹の勢いで米国の映画産業を飲み込まんとする中国にハリウッドが“営業”をかける構図が生まれた。映画評論家の秋本鉄次氏がいう。

「その昔、ハリウッドスターは映画キャンペーンで真っ先に日本を訪れたが、現在は訪中のついでに来日するケースも増えている。日本は中国の“オマケ”になりつつある」

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン