中産階級が育った中国の映画市場は2012年に日本を抜き、その市場規模は2014年には47億6000万ドルに膨らんだ。過去5年で3倍以上に拡大する急成長だ。
かつて松田優作が怪演した『ブラック・レイン』や、渡辺謙がアカデミー賞にノミネートされた『ラストサムライ』など、米国のパートナーといえば「日本」だったが、時代は変わった。
大陸の反応がハリウッドの収入を左右するため、「対中配慮」も増えた。2012年公開の戦争映画『レッド・ドーン』は当初、中国を米国の敵国にして撮影したが、中国の反発を恐れたのか、途中で悪役が北朝鮮に変更された。
この流れは今後も止まりそうにない。今年公開予定のSF超大作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』でも中国の人気女優が戦闘機のパイロットとして登場し、地球を救うのに貢献するという。
配給元の20世紀フォックスは「中国人を喜ばせるモノではない」とする一方で、「当社は中国の映画市場を非常に重視している」との本音も隠さない。市場規模を考えれば当然なのかもしれないが、ここまで露骨な手のひら返しだと、何とも嫌~な感じに思えてしまう。
※週刊ポスト2016年2月26日号