周囲の期待は否応なしに高まっている。西武時代、投手コーチとして松坂を指導していた野球評論家の杉本正氏は、松坂の現状を見てこう語る。
「昨年の手術で、肩の不安がなくなったのでしょう。体全体のコンディションも相当いいんじゃないでしょうか。昨年のキャンプからオープン戦を見ていると“これが本当に松坂か?”と思うような投げ方をしていた。上体が突っ張って、(腕が)横振りになっていた。特に僕は彼の若い、いい頃を知っているから、それはもう雲泥の差です。
それが今年は、昨年と比較して投げ方が数段良くなっている。腕の振りもいいし、投げる際の歩幅が広がっている。松坂には今年はやれるという感触があるんじゃないかと思う」
ただ、杉本氏はこう付け加えた。
「ブランクは1年、メジャー時代を含めると数年は先発として年間を通して投げていなかったわけで、そう考えると肩周りの筋肉とかスタミナはかなり落ちていると思う。開幕からは無理です。でも今から体を作って、6月以降なら十分一軍の戦力になれるのではないか」
その点で、松坂には追い風が吹いている。武田翔太、バンデンハーク、攝津正、中田賢一と、SBの先発陣はとにかく層が厚い。現時点でも松坂は5~6番手の投手になれれば、といわれており、工藤公康監督もその観点からか、松坂には「開幕に間に合わなくても構わない」と発言している。
慌てず、焦らずコンディションを整えていって、満を持しての“復活”を演出できればいい。確かにこれならいけるかもしれない。
※週刊ポスト2016年3月4日号