芸能

『あさが来た』 ヒット要因にイケメンリレーという新法則

イケメンリレーでは五代さまの存在感は大きかった

 NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』が放送終了まであと1か月を切るなかで、好調をキープしている。ヒットの要因は数々言われているが、これまでの朝ドラではあまりなかった“イケメンリレー”も人気を後押しした。コラムニストのペリー荻野さんが、放送を振り返りながら、ヒットのカゲにあった新手法について解説する。

 * * *
 いよいよ物語も大詰めとなってきた『あさが来た』。先日、最終収録が終わり、主演の波瑠は涙涙だったそうだが、通常、ラスト収録は立ち会った報道陣に公開されるのが、今回は未公開。どうやら、最後の最後まで「びっくりぽん」が用意されている様子。話題作りのダメ押しもしっかりしている。

『あさが来た』については、スタート当初からヒット朝ドラマの鉄則をしっかり研究したドラマだということがよくわかっていた。その鉄則とは「最高視聴率62.9%を記録した『おしん』のような女の一代記ものであること」「『あまちゃん』のじぇじぇじぇのように、びっくりぽんという合言葉があること」「『カーネーション』の綾野剛のように、ヒロインの前に結婚相手とは違う第二の男五代友厚(ディーン・フジオカ)がいること」「苦労して作ったウイスキーが高く評価された晩年の姿を第一話冒頭にもってきた『マッサン』のごとく第一話のはじめのシーンで女子大で堂々と語る晩年のあさの姿を出して、ドラマの着地点を見せていたこと」などなど。

 そして重要なのが、イケメンのリレーが出来上がっていたことである。当初、あさの前に現れた許嫁の新次郎。玉木宏はおっとりしたぼんぼんで、頼りないが笑いのわかるいい男。ふたりの結婚エピソードとともに、彼らを応援する祖父が林与一、新次郎の父が近藤正臣と、昭和を代表するイケメンスターが、私を含めて昭和世代の胸を騒がせた。
 
 続いて登場した五代友厚。ディーン・フジオカ人気が沸騰。また、雁助(山内圭哉)とうめ(友近)、亀助(三宅弘城)とふゆ(清原果耶)の関係にも注目させる。
 
 五代亡きあとは、女子大設立を目指すぼさぼさ頭の熱血教育学者成澤役の瀬戸康史が登場。瀬戸といえば、昨年の大河ドラマ『花燃ゆ』では、悲劇的な最期をとげる吉田稔麿役で見せ場たっぷり。Eテレでは『グレーテルのかまど』でスイーツを作って女子からも人気を博す。イケメンリレーのバトンをしっかり受け取って走っている。
 
 そして、イケメンリレー最終走者ともいえるのが、あさの娘千代の前に現れた東柳啓介(工藤阿須加)である。あさが暴漢に刺され入院した病院で出会った女学生の千代と帝大生の啓介。詰襟の啓介は倒れ込んだ千代に手を貸し、彼女はドキドキ。その後、病院の水場で彼が不器用にリンゴをむいていると、今度は千代が手助けする。彼が「べっぴん」と言うと顔を赤らめる千代だが、「リンゴのことだよ」…って、少女マンガですな、これは。
 
 実はこの啓介の存在も、ヒット朝ドラマの鉄則に則っている。朝ドラマでは過去にも学生服姿で登場してブレイクしたイケメンが多くのいるのである。古くは1967年の朝ドラマ『旅路』の横内正、1984年『心はいつもラムネ色』の新藤栄作、2000年『オードリー』の佐々木蔵之介…。『あさが来た』はイケメンリレーという新しい朝ドラマの鉄則と、過去の成功例の踏襲というふたつの路線でがっちりファンをつかんだ。工藤阿須加が最後までどうなっていくか。最終ランナーの走りに注目だ。

関連記事

トピックス

山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン
ロシアで勾留中に死亡したウクライナ人フリージャーナリスト、ビクトリア・ロシチナさん(Facebook /時事通信フォト)
脳、眼球、咽頭が摘出、体重は20キロ台…“激しい拷問”受けたウクライナ人女性記者の葬儀を覆った“深い悲しみと怒り”「大行列ができ軍人が『ビクトリアに栄光あれ!』と…」
NEWSポストセブン
谷本容疑者(35)の地元を取材すると、ある暗い過去があることがわかった(共同通信)
「小学生時代は不登校気味」「1人でエアガンをバンバン撃っていた」“異常な思考”はいつ芽生えたのか…谷本将志容疑者の少年時代とは【神戸市・24歳女性刺殺】
NEWSポストセブン
大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン