「1968年に始まった『キイハンター』の頃は、やれといわれればどんなアクションでもできました。柵に相手を追い詰めて、2人一緒に柵の向こうへ落ちていくシーンでも、落下時、顔が映るようにとスタントなしでやっていた。だから、年中怪我だらけで身体はボロボロでした」

 当時、本物のアクション俳優が不足していることを憂えて一念発起、ジャパンアクションクラブ(JAC)を創設。真田広之や堤真一、伊原剛志など、錚々たる俳優を育て上げた。

「JACでは、最初の半年間、演技をまったく教えませんでした。まず、肉体を鍛え抜く。鍛え抜かれた腹筋や背筋を持つ人間の声はまるで違う。肉体は俳優の言葉なのです。演技は顔でするものじゃない。五体でするものです」

◆ちば・しんいち/1939年、福岡県生まれ。日体大中退後、東映ニューフェイスにトップで合格。1960年、ドラマ『新七色仮面』で主演デビュー。1968年のドラマ『キイハンター』で一躍トップスターに。海外での知名度も高く「Sonny Chiba(サニー千葉)」の愛称で知られ、ジャッキー・チェンやキアヌ・リーブスらとの親交も深い。

撮影■藤岡雅樹 取材・文■小野雅彦

※週刊ポスト2016年6月3日号

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