「そこで知ったことが本当かどうか、なるべく別のメディアで確認してください。新聞でも雑誌でも、そのテレビ局の系列ではないところの新聞を読んで、確認してほしいと思います。すると別の意見が見えてきます。そこでどちらが正しいかを考えてほしいのです。考えることをやめずに、ニュースを鵜呑みにしないでほしいと思います」
確かに、消費税増税延期が夜のニュース番組のトップを飾った翌日、新聞朝刊では、テレビで報じられなかった問題が指摘されていた。
たとえば朝日新聞は、安倍首相の悲願でもある憲法改正が選挙戦の争点になること、日経新聞では、海外メディアがアベノミクスが難航していると厳しい見方をしていることを報じている。
そうしたさまざまな視点をもてば、今回の消費税増税延期、さらに参院選の争点として何を重要視するかについても意見は変わってくるはずだ。
元民放連職員で、立教大学社会学部メディア社会学教授の砂川浩慶さんは、ニュース番組へのいっそうの奮闘を期待する。それは「知る権利を持つ国民にとって非常に不利益な状態」だからに他ならない。
「本来、ニュース番組の役割は視聴者が考えるための多角的な材料を提供することです。それなのに、視聴者の知らぬ間に、政府の狙い通りにニュース番組が作られ、報じられ、見る側がそれを信じ込んでしまうという危険な状態は、なんとしても避けなくてはなりません」
※女性セブン2016年6月23日号