小澤氏のいうヌード撮影の工夫とは、物語や状況を考えることだった。
「高樹澪さんの場合、それはシンガポールの高級ホテル・ラッフルズ・ホテルで撮ろうよと提案することでした。男っぽい人だけど、とても勘のいい人で、気持ちが通じ合っているという実感がありました」
大西結花のヌード写真集の撮影では、雪が降る真冬の岩手で、「裸になることにためらいがある」と彼女が車から出てこなくなるというトラブルが起こった。
「2人きりで4時間、車の中で話をした。『あなたの人生なのだから、脱ぐ、脱がないはあなたが決めること。でも、もし脱ぐなら、僕は最高の写真を撮ります』とね」
小澤氏の熱意が大西を動かしたのか、撮影は大成功。最高の表情を撮ることができた。一方、あふれんばかりの情熱に圧倒されたモデルが小柳ルミ子である。
「スペインで現地の男性モデルとの絡みを撮っていた時のことです。僕も一緒にシーツの中に入って撮ることになって、そこで見た裸は今まで僕が見てきた彼女の姿の中でも一番きれいで艶やかだったなあ。『眠らなくても大丈夫』というので一日中撮っていたけど、彼女、朝4時頃撮影が終わると、その足でジムに。人知れず努力するのが小柳ルミ子という女性の才能なんだと思いました。
他にも、伊藤麻衣子さんや斉藤由貴さんなど想い出に残る人は多いけど、みんな輝いていてパワフルだった。キラキラとカメラの前に立ってくれた被写体こそが僕を育ててくれた一番の先生だったと今でも思っています」
※週刊ポスト2016年7月1日号