「もちろん、無所属で出る以上、厳しい戦いになるのは分かっている。しかし、都知事選は何があるか分かりませんから。幸い私は政治家の経験も立候補の経験もないので、政治団体も持っていません。国会議員や元知事やかつての候補者のように『政治とカネ』の問題が出てくる可能性は皆無です。

 私は、母親が出産里帰りをしたため生まれこそ福岡なんですけど、1歳になる前からはずっと東京なんです。それは東京出身と言っていいらしい(笑い)。父親が腎臓病を患ってからは、都営アパートに住まわせてもらったり、東京都奨学金で高校を卒業したり、東京がなかったら、現在の私は絶対にいなかったんですよ。

 ジャーナリストになったとき、ニューヨーク・タイムズのボスらに、『ジャーナリズムで得たものはジャーナリズムで返せ』と教えられました。記者クラブ開放のために公益社団法人自由報道協会もつくって、多様性のある言論空間を作ってきた。そうしたことでもうジャーナリズムには十分お返ししたかなと。それで、今度は東京に恩返しをしたいと思ったんです」

 そんな上杉氏が公約に掲げるのは、五輪組織委員会の白紙改編と森喜朗会長の「名誉ある勇退」が一つ。また、本来東京都に入るはずの税金が地方に支払われていることを憂慮し、その税金を都民のために使うという。具体的には待機児童問題の解決等だ。上杉氏は「東京都を、必ず変える」と宣言し、政党の公認を得ることなくひとりで出馬する。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

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