所:きわめて難しい問題ですね。おっしゃるとおり、秋篠宮殿下が皇太子殿下の後をお継ぎになる場合、ご年齢の近い敬宮愛子さまと悠仁さまのどちらを優先するかということは、かなり際どい難問となってくるに違いありません。ただ現在、弟君に悠仁さまという男子がおられますから、それを前提に次の次まで見守っていくほかないと思います。
いまはまず、陛下のご意向実現を最優先に考え、皇室典範第4条を終身在位に限らず生前退位を可能にするよう改めることに的を絞るべきだと存じます。もちろん、その間に独身の皇族女子が結婚して皇族からいなくなってしまうことを回避しなければなりませんから、皇族女子も宮家を継承したり創立できる道を開く典範改正も避けて通れません。
小林:小泉政権のときには女系天皇まで認めた皇室典範改正を進めていて、本来はあれでよかったはずなんですよ。それを、悠仁さまがお生まれになったからといって、ぱっと引き揚げてしまったのは、当時、官房長官だった安倍首相ですよ。
その後、今度は野田政権で悠仁さまがいることを前提に女性宮家の創設に関する皇室典範改正が議論された。わしもあの案はひどいものだったと思いますが、それすら政権交代後に潰したのも安倍首相です。女性宮家は女系天皇につながるという男系絶対の支持者の声に従ったわけでしょう。
※週刊ポスト2016年8月5日号