「彼女は出演した政治家や財界人、言論人らに欠かさず礼状を書き、番組で撮影した本人の写真を添えて送っていました。すると返事が来て、お茶やご飯を一緒にということになる。それが彼女の貴重な人脈になっていったんです」

 1988年『ワールドビジネスサテライト』のメーンキャスターになると、さまざまな国際会議を取材するなど率先して世界中を飛び回った。

 こうして培った人脈やテレビの世界で学んだことは、後に彼女の大きな武器となる。2005年、環境大臣の時に仕掛けた「クールビズ」はその好例だろう。

「彼女がクールビズをPRするために考えたのがファッションショーで、財界のトップをそのモデルにしようとした。“上司が変わらなければ部下は変えられない”というのがその理由です。当時の日本経団連会長でトヨタ自動車の会長だった奥田碩さんをはじめ、錚々たる財界人に自ら声をかけて、ショーに出演させました」(大下さん)

 かくして「クールビズ」は多くのマスコミに取り上げられ、多くの人の予想に反し、広く浸透していった。小池さんの人脈を駆使したPR戦略は見事に成功したわけだ。

 自民党の平沢勝栄衆議院議員も、彼女の情報網の広さを実感したことがあるという。2001年5月、北朝鮮から金正日総書記(当時)の長男・金正男が偽造旅券を使って密入国し、成田で身柄を確保された時のことだ。当時、小池さんは衆議院議員3期目で保守党に在籍していた。

「政府の極秘情報だったのにどこで入手したのか。彼女がぼくのところに電話してきて、“あの男を日本から出しちゃダメだ”と言うんです。それにはぼくも同感で、偽造旅券で入ってきた人間を徹底的に調べるのは当たり前のことですから。ところが外務大臣だった田中眞紀子さんは“テポドンが飛んできたらどうするのよ”とパニックになり、結局、丁重に送り返してしまいましたが…」(平沢議員)

撮影■小倉雄一郎

※女性セブン2016年8月18・25日号

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