一方、田中理恵氏は、弟の田中佑典選手をどんな場面でも「田中選手」と呼び、キャスターと選手という距離感をきっちり保ち、終始冷静に解説していたのが印象的だった。そして彼女はやっぱりものすごい美人ということで、彼女に取材をしてもらった男子選手のテンションが急上昇するのがよくわかる。知識の高さと、立場をわきまえた言動と、美人度…。彼女は今後もっともっとスポーツ番組で活かされるべきだと思う。
そして日本テレビには、長年夕方のニュース番組でメインキャスターをしている、元バトミントン女子日本代表の陣内貴美子氏がいる。
彼女は、同局夕方の帯ニュースがリニューアルされるたび、「視聴者の皆さんは、なんで、こんな人が出続けているんだろうと思っているハズ」と自虐的ともいうべき謙遜をする。が、バドミントンのみならず、全競技に精通し、深い知識をもっている。さらに、ひじょうに社交的な人なので、多くのアスリートと交流があり、正式なインタビューではなくても、電話やメールで直接コミュニケーションをとり、さまざま情報収集をしている、女性のスポーツキャスターでは、いま一番と言っていいほどの存在なのである。
「私の時代、(バドミントンは)オリンピックに出ることが目標だったので」と、これまた謙遜していたが、明石家さんまが「バドミントン界のキョンキョン」と命名したほど、現役時代の陣内氏はキュートで、スター性があった。今大会で、タカマツペアが金メダルに輝いたことで、日テレ報道局も「大先輩の陣内さんを起用し続けて本当に良かった」と思っているのではないか。
“ワイドショー組”の現地キャスターも頑張っていた。『スッキリ!』からは「加藤さん、事件です」でおなじみの阿部祐二リポーターが。『情報ライブ ミヤネ屋』からは、大会前半を藤村幸司リポーター、後半を中山正敏リポーターが担当していた。
3人とも、事件、災害から芸能まで、あらゆるジャンルをこなしているし、それぞれが、多くの日本人選手に密着したり、インタビューしたりしているのだ。つまり、現地で“顔見知り”が多いという点では、少なくとも件のNHKの新人アナウンサーよりは上。
さらに彼らは、「阿部さん」「藤村さん」「中山さん」と番組内で連呼されているため、名前が知れ渡っているうえ、朝帯や午後帯のワイドショーを見ているであろう“選手の家族”にも、ひじょうに“とおり”がいいのである。