国内

恋人のベッドの上で元夫の自殺を知った女性の告白手記

 どんなに不幸なことがあっても、どんなに辛いことがあっても「私は負けない」──。「自らの半生を見つめ直し、それを書き記すことによって俯瞰して、自らの不幸を乗り越える一助としたい」という一般のかたから寄せられた手記を、原文にできる限り忠実に再現いたしました。石岡恵美子(東京都・41才)の場合──。

 * * *
◆恋人の部屋で知った元夫の“首吊り”

「今、いい? 気を落ち着かせてよく聞いて。あのね、Sくんが亡くなったの」

 早朝のけたたましい着信音はアラームではなく、元夫の訃報を知らせるものでした。寝起きで頭がハッキリしていなかったせいか、どこか夢の続きのよう。私の第一声は、「そうですか」という実に冷静なもの。

「首吊り? 場所は?」

 窓にかかるアイボリー色のカーテンを指先でつまんで外を見ると、抜けるような青空が広がっていました。泣いてはいけない。感情を乱してはいけない。そんな心のストッパーがかかっていたことも事実です。なぜなら私がさっきまで寝ていたのは、8才年上の恋人、O(オー)さんのベッドだったから。

「首吊りって…」

 振り向くと、起き抜けのOさんの顔がこわばっていました。

◆何かに背中を押されるように結婚を決めた

 元夫、3才年下のSくんと出会ったのは友人に連れられて行った新宿のバー。彼はそこの常連でした。

「Sくんって、そこにいるだけで和むっていうかぁ、な~んか、いいよねぇ」

 酔った私はカウンターに突っ伏しながら、何度もそんなことを言った覚えがあります。年下の彼を、ちょっとからかいたかったのかもしれない。

 広告会社に勤務し、残業で時間に追われていた私が、彼の顔を見ると、ほろっと顔がほころびました。性的に刺激されないタイプだったのも、気楽だったのかも。

 1年半ほど過ぎたとき、ふとアルバムをめくってみると、いつも私の隣に満面の笑みで写っていたのはSくん。

「結婚するときは、そっちに向かって風が吹いて、何かに背中を押されているよう」

 お酒の席で誰かが言っていたけど、まさにそれ。あれよ、あれよという間に私とSくんは入籍しました。その直後のことです。

「あのさ、ダンナに会ってほしいんだけど、あんた、今どこにいるの?」

 横にいたSくんは、それが3年ぶりに母親にかけた電話と知ると、「普通、母親に『あんた』なんて言わないよ」と呆れたけど、私にはその“普通”がよくわかりません。

 私が知っているだけでも、父と母はそれぞれ7回ずつ結婚と離婚をしていて、ふたりがよりを戻す間に、別の父と母が現れ…。

 子供の私は、母方の祖母の家から小学校に通い、ときどき母親に呼び戻され、そのときの母の男を、「お父さん」と呼ばされました。

 母は実姉が、「一日一緒にいるだけでくたびれる」というくらい、自己中心でヒステリック。

 いいところは、働き者で金銭面はしっかり者、だったはずでしたが、お金持ちの「パパ」の愛人生活をしているときにパチンコに入れ揚げてしまい、「3000万は使ったよ」と平気で言う女です。Sくんと初顔合わせに母が選んだのも、『パチンコ・モナコ』の『海物語』の席でした。

◆夫に体を求められるとどうにもならない嫌悪感が

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン