どこにでも転がっている話です。浮気をしていることを、夫は知ってか、知らずか、彼の家から朝帰りしても、「お疲れ。お腹すいてない? お風呂入る?」と何事もなかったような顔をしていました。
きっと夫はあのままがよかったんだと思います。私も1年間ほどは、子供たちのためにもこの生活を続けようとしました。
ずっと子育てをしたのは夫です。疲れている私に子供たちがまとわりつくと、「あ~あ、やっぱりママがいいんだねえ」と夫はイヤミたっぷり。
でも、高熱を出した子供を置いて会社に行けたのは、間違いなく夫のおかげ。離婚だけは避けよう。どんなことがあっても、離婚はしない。あの頃私は、口を開けばそう言っていたと、Oさんは言います。
だけど、踏みとどまろうとすればするほど、心と体は、夫から離れていきました。そして、不器用な私はとうとう言ってしまったのです。「男ができたから離婚してください」と。まさかそれが夫、Sくんを死に追いやるまで追い詰め、私自身の心のバランスを崩し、生活を破たんさせることになるとは、思いもよりませんでした。
(次号につづく)
※女性セブン2016年11月10日号