授乳、おむつ交換、抱っこ…昼夜関係ない育児は、想像以上にハード。疲労の蓄積や睡眠不足から、母体の免疫は低下しやすくなっている。それに加えて昨今は待機児童問題が深刻化しており、産後あっという間に復職しなければならない。
「うちは共働きで、私は会社を辞めるつもりがなかったので、子供を保育園に預けなければいけませんでした。認可保育園には4月段階で0才児じゃないと入れないから、まだ5か月の時に預けたんです。
会社と保育園を行ったり来たりする生活は、今振り返ると無理していたなって思うんですけど、あの時は自分の体力が落ちていることにさえ気づいてなかった…。みんなやってることですし、私にできないことはないと思っていました。実際、あの日まではできていたんですから…」
乳がん闘病中の小林麻央(34才)も、2児の母、梨園の妻として多忙な日々を過ごしていた。半年後に乳房の再検査を受けるはずが、忙しい日々のなか予約が遅れ、しこりが大きくなってしまったとブログで後悔している。ママたちは忙しいなか、つい自分以外のことを優先してしまう。
「誰もが認可保育園に入れて、待機児童の問題がなくなれば、私のように無理をしすぎて病気が悪化するということもなくなるんじゃないかなと、強く思います」
入院から2か月後、川上さんは退院できるまでに回復。やっとすべてが終わった!と思ったが、退院前の心臓のエコー検査で異常が見つかった。
「抗生物質で殺した菌の死骸が、心臓の大動脈弁のところにたまっていると言われたんです。この死骸の塊は、一生悪さをしないかもしれないけど、もしかしたら血管内を飛んで脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性があるそうです。
手術をすると、またそこから感染症を引き起こすなど別のリスクが高まるというので、私は手術をしない選択をしました。私の場合一生経過観察して、何かあったときに対処するしか方法がないんです」
人食いバクテリアの本当の恐怖は、致死率30%という命の危機から生還したらすべてが終わりというわけではないこと。手脚の切断がなくとも、川上さんのように死と隣り合わせの日常を強いられることも珍しくないのだから。それでも今年、川上さんは笑顔で新年を迎えた。
「精神的にへこむこともあるんですけど、なんだろう、子供をかわいがって毎日頑張れば大丈夫だと思うんです。だって、やっぱり、今こうして生きているのって奇跡。あのとき病院に駆け込んだのも、子供がいたからこそ。子供のためにも、私は生きないと」
※女性セブン2017年1月26日号