長男は高3、長女は中3になり、2人とも受験を控え、私の仕事も多忙を極めて明けたお正月のこと。
私はおせち料理を持って彼のアパートを訪ねました。電話はしていたものの、会うのは久しぶり。突然行って彼を驚かそうと、合い鍵で彼の部屋のドアを開けました。
その瞬間、目に飛び込んできたのは…。女物の洋服、下着の洗濯物が下がり、テーブルの上には化粧品と髪留め。やっと「奴は若い女とこの部屋で暮らしている」と認識すると、体中から怒りがこみ上げてきました。
化粧品や小物を手で払っては部屋中にぶちまけ、洋服や下着はすべてはさみで切り刻み、部屋中をぐちゃぐちゃにし尽くしたときに、彼と女が戻ってきました。
女は悲鳴を上げましたが、彼は「あ~らら~」とひと言。そんな奴だったのです。部屋を飛び出し、長女に電話をしました。取り乱して何を言っているかわからない私に、「ママ、ママ、落ち着いて」と言い続ける娘。まったく恥ずかしい話です。しかし、因果は巡るというのか、その長女が大学受験のために通っていた塾の講師とつきあい始めたのです。さすがの私も、これには怒るどころか笑い出してしまいました。
あれからまた月日が流れ、私も57才。今は会社に所属するのではなく、契約している企業数社の決済などをして暮らしています。
昨年、元夫は誰にも看取られずに鬼籍に入りました。3人の子供たちも独立して、めったに家には顔を出しません。
男はこりごり? いいえ、実は経理を見ている会社の社長からプロポーズされて先日、入籍しました。今度こそ、穏やかな生活をと決心しましたが、夫の子供たちは大反対。これからどうなるかわかりませんが、私はちょっとやそっとのことでは別れないつもりです。
〈了〉
※女性セブン2017年2月16日号