──今の時代、新宗教に求められるものとは?

深見:孤独に苦しむ現代人にどう幸せや夢や希望を与えるか。NHKの『無縁社会』(*2)を見ていても議論に宗教や信仰が出てこなかった。人間の苦しみや悲しみに寄り添い、共有し、救うのが本来の宗教の役割です。オウムで信頼を失った新宗教ですが、弱い立場の者を救済するという社会的役割は変わらない。今後も“明るく楽しく新しい宗教”路線は貫きますが、信者と悲しみを分かち合うことも忘れてはいません。

(*2/2010年から始まったNHKのドキュメントプロジェクト。人と人とのつながりの「希薄化」を多角的に検証した。)

●ふかみ・とうしゅう/1951年、兵庫県生まれ。同志社大学経済学部卒。その後、西豪州で創造芸術学修士、中国の清華大と浙江大で文学博士号を取得。母が信仰していた世界救世教に幼年期から親しみ、浪人中に大本教に転向。大和ハウス勤務を経て、1977年に開祖植松愛子氏と出会い、25人の弟子と同教団の礎を築く。1978年「三十鈴」を設立(「みすず学苑」を運営)。1984年、同教団前身の「コスモコア」を設立。教団代表を務める傍らオペラや書道など多彩な活動を展開。生涯独身を貫く。

【ワールドメイト】神道系の宗教団体。本部は静岡県伊豆の国市。会員数は約7万7000人。伊勢神宮参拝など伝統の神事にちなんだ活動のほか、お盆の灯籠流しや花火大会などエンタメ色の強い行事も開く。入信にあたっては月会費2500円、準会員1200円。2012年に宗教法人格を取得した。

※SAPIO2017年3月号

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