ここまで書いてきたように、2時間ドラマが危機的状況に陥っているのは、「高視聴率狙いで事件解決ドラマを作りすぎた」テレビ局側の失敗と、「ドラマのながら視聴や録画視聴がスタンダードになった」視聴者側の変化。両サイドからの明確な理由があるだけに、その先行きには暗雲が立ち込めています。
もちろんこれほど歴史の長い日本特有の映像文化が完全消滅することはないでしょうが、このままでは作品数が目減りする一方。この逆境に立ち向かうためには、現在の人気シリーズを大切にするだけでなく、「目の肥えた視聴者をうならせるストーリーをどう作り出していくか」が鍵を握っています。
松本清張さん、山村美紗さん、森村誠一さん、西村京太郎さんなど2時間ドラマの黄金期を築いた名物作家に変わる存在の発掘。船越英一郎さんや片平なぎささんらを超えるニュースターの育成。現状を打破するためには、「民放各局が力を合わせて2時間ドラマを守っていこう」というスタンスが求められているのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。