国内

青年漫画誌・スピリッツが「社会派に転向」の理由

武井咲さんが表紙を務める3月13日発売号

 雑誌販売の低迷に、歯止めがきかない。出版科学研究所が公表した書籍と雑誌を合わせた推定販売金額は前年比3.4%減の1兆4709億円、そのうち雑誌が前年比5.9%減の7339億円だった。ピークを記録した1997年に、その額は1兆5644億円だったことを考えると、ほぼ半減したといえる。

 出版各社はもう一度、雑誌に読者を呼び戻そうという新たな取り組みを始めている。年末年始は出版物流を休止するのが慣例だったが、昨年大みそかには雑誌・書籍の「特別発売日」を設定、発行総部数870万部が刊行された。またファッション誌では、バッグや小物を付録にする取り組みを進化させて独自ブランドの立ち上げを行って、販売部数を伸ばした例もある。

 そんな状況の中、漫画雑誌でありながら特集主義という挑戦を行っているのが、青年漫画誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)だ。昨年7月、参院選に合わせて「日本国憲法」全文と漫画家13人のイラストを載せたとじ込み冊子を付録につけて、大きな話題を呼んで完売を記録。その後も「80年代アイドル特集」「ファーストクラス特集」「文学特集」「猫特集」といった特集号を刊行し、これまでの漫画雑誌のイメージをくつがえす取り組みを続けている。

 3月13日発売号では、東日本大震災から6年経過したタイミングに合わせて「特集 君と僕の防災」と題した「防災特集号」を企画。表紙には武井咲を起用し、『伝染るんです。』の吉田戦車氏イラストによるカラフルな「防災ミニブック」を2冊とじ込み付録にした。1冊は自分自身に、もう1冊は大切な人へプレゼントしてほしいという漫画誌ならではの趣向をこらした特別付録のほか、グラビア・特別読み切り漫画・記事を合わせて計42ページというボリュームを持った特集号となっている。

 企画に携わった同誌・浜本邦生副編集長が語る。

「防災というのは、どれだけ自分ひとりが備えていても仕方がないところがあると思います。身近で大切な人こそ、いざという時のために備えておいてほしいものじゃないでしょうか。だから、防災について考えることは誰かのことを真剣に考えることでもあるはず。今号、2冊付く『防災ミニブック」が、自分の足もとを見つめ直すキッカケになれば嬉しい」

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン