国際情報

作家・井沢元彦氏が「支那」という用語を使わない理由

作家・井沢元彦氏が解説

「歴史に学べ」という言葉がある。現代の世の中をとらえるとき、よく使われる言葉だが、過去の歴史をさらに古い過去と比較し、学ぶこともできる。作家・井沢元彦氏による週刊ポストの連載「逆説の日本史」より、近年滅多に使われることがなくなったが、かつては福沢諭吉も使用した歴史的用語でもある「支那」という言葉についての考察を紹介する。

 * * *
 まず支那という言葉自体差別用語であると言っている人がいるが、これは少なくとも国語学上は何の根拠も無い妄説である。なぜなら支那はもともと中国全土を初めて統一した秦が、ヨーロッパでChina(シナ)と呼ばれ英語チャイナの語源となった後、それを逆輸入した中国が、向こうではわれわれのことをこのように呼んでいると「あて字」したものであるからだ。

 このあて字自体、当の中国人が行なったものだから差別的意味は含まれていない。中国人がモンゴル人の「モンゴル」に「蒙古」(無知蒙昧で古い)などという字をあてたような悪意とはまったく無縁である。

 一方、中国というと「中華の国」つまり世界の中心で一番優れた国という意味になる。まさに中華思想だが、そうした考え方に反発する人間はあえて中国を使わず支那を使った。江戸時代以降の日本人が中国という言葉を使わなくなったのは、中華思想に反発してのことなのである。

 そうは言っても中国人の側から見れば、特に中華民国成立以降の中華人民共和国に至る中国人の側から見れば、われわれの国は国号が中国であるのに、わざわざ支那と言うのは差別的であると考える向きもある。もっともなことなので、私は一般的にチャイナを表現する場合は中国と言う。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン