国内

年収1000万円男性と不倫して出産する人生がなぜ「得」なのか

この本が、家族の多様性を広める一つのきっかけになれば、と藤沢数希氏

<一夫一妻制>ではなく、<事実婚>こそ、いまの時代にふさわしい──。日本の少子化の原因は現在の「結婚制度」にあるとして、新しい家族のあり方を提示する藤沢数希氏の『損する結婚 儲かる離婚』(新潮新書)が話題を集めている。少子化対策のためのみならず、男女ともが真に自由に、愛に生きるために、<事実婚>という選択肢があると説く藤沢数希氏のインタビュー。【後編】では、結婚制度の欠陥から、現代の平和な一夫多妻制の在り方までを聞いた。

 * * *
■デキ婚や離婚のように、<事実婚>が市民権を得る可能性はある

──藤沢さんは日本社会が<事実婚>へと堰(せき)を切るためにこの本を書いた、と仰いました。まず、藤沢さんが想定されている<事実婚>ってどういうものですか?

藤沢:一対一で付き合っているカップルが籍を入れずに一緒に暮らし、子どもが生まれて家族になるパターンもあれば、女性がいわゆる愛人という形で男性と暮らすなり、あるいは別居はしていますが子どもを産むパターンもあります。いま、こうした事実婚を妨げる法律は一切ありません。数年前までは、非嫡出子の相続は嫡出子の半分、という差別的な法律が唯一残っていたのですが、これも当然のように撤廃されました。

──とはいえ日本では事実婚の状態で生まれた子ども、つまり婚外子の比率は2%程度です。フランスの約60%をはじめ、40~50%が多いヨーロッパに比べると、異常な低さです。なぜだと考えますか?

藤沢:法律上の問題ではないのだから、文化的な要因が大きいと思います。本に書きましたが、韓国や香港も少ないので、アジアに共通する価値観なのかもしれません。しかし、「みんながやれば自分もやるし、みんながやらなければ自分もやらない」という単純な話なのかもしれません。僕は海外で暮らしていたし、外資系企業にいたから、日本の同調圧力や世間体を気にしたことがないのですが、日本に生まれてずっと日本に住んでいると、みなと同じ、が大事なのだな、と人々を観察していて感じます。

 裏を返せば、みながやり出したら、一気に広がる可能性はある。例えばできちゃった結婚って、10数年前までは隠さないといけないようなことだったけど、いまや市民権を得ましたよね。むしろ、子どもができないのに結婚するの? と言われてしまいます。離婚も3人に1人がする時代、バツイチは必ずしもネガティブな言葉ではなくなりました。ふつうの公立の小学校なんか覗いてみると、シングルマザーの家庭はぜんぜん珍しくない。

 社会は徐々に変わるのではなく、ある時点を境に、急激にガラリと変わるのだと思います。影響力のある著名人やスポーツ選手が堂々と事実婚を宣言するなどしたら、急に事実婚がふつうになるかもしれない。まずは、この本が家族の多様性を広める、一つのきっかけになれば、と思います。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン