「銀婚式を迎えられた1984年、記者会見で美智子さまは、“夫婦としてお互いに何点をつけるか”という質問に“差し上げるのなら、お点ではなく感謝状を”と述べられました。『陛下に評価を下すこと』を、ユーモアたっぷりに回避された美智子さまのご自覚の強さがうかがえました。美智子さまは、ご自身のお立場というものを充分に理解されているのでしょう。同時に、ご自分の行動が国民にどう映り、どんな影響を与えるかということまで綿密にお考えになっている。それは、皇太子妃として、皇后として長きにわたって苦しみ、考え抜かれてきたからこそたどり着くことのできた境地だと思えるのです」(皇室ジャーナリスト)
◆耐えがたいほどの昭恵さんの軽さ
翻って昭恵さんである。彼女もまた、ファーストレディーの枠を壊そうと奔走している。
女性の社会進出を訴えて、「首相の夫にはできないけれど、妻の私にはできること」に邁進する。夫が帰宅していても「市井の意見を吸い上げるため」と外出をいとわず、深夜のお酒にもつきあう。「夫は自分でスーツのズボンのプレスをかけるの」と明かし、首相公邸にお気に入りの若い論客や研究者を呼んで歓談をする。原発再稼働の反対や反TPPなど、夫の方針に真っ向から対立し、「世のため人のためになろう」という姿勢を見せる。
しかし、その姿は美智子さまに重ならない。全身全霊で「公人」としての務めをまっとうする美智子さまに対し、昭恵さんは首相夫人というブランドを活用しながら、都合が悪くなると「私人」という言葉を傘に逃げを打つ。
「総理夫人という立場で周囲から蝶よ花よとおだてられて、本人も“私は何でもできる”という万能感に舞い上がってしまったようです。そこにきて、全方位からの猛烈なバッシング。そんなタイミングで訪れたのが、ベトナムへと旅立たれる美智子さまと言葉を交わす“あの日”だったのではないでしょうか。美智子さまがさまざまな苦境を乗り越えられてきたのを知っている分、昭恵夫人には美智子さまのお声掛けが言葉の範疇を逸脱して響いたのかもしれません」(政治ジャーナリスト)
※女性セブン2017年4月27日号