さらに、王毅外相は記者会見で、日本に対し「今年は中日国交正常化45周年だが、同時に盧溝橋事件80周年の年でもある。45年前に日本の指導者は(日中国交正常化によって)歴史を反省したはずだが、今日に至るもなお、日本には歴史の逆行を目論む者がいる。我々は日本との関係を改善したいが、そのためには日本がまず“心の病”を治さなければならない」と発言した。
呆れて開いた口がふさがらないとはまさにこのことだろう。歴史を直視しないのは中国のほうであり、共産党が中国人民を日本軍から解放したとする捏造をはじめ、チベットやウイグル、香港、南沙諸島などに関する中国の“唯我独尊病”のほうが、よほど深刻ではないか。
王毅外相はもともと駐日大使も歴任し、日本語も堪能な日本通だ。外国人へのヘイトスピーチや国粋主義的な勢力がある一方で、それに対する反発も大きい日本の実情は重々承知しているはずだ。にもかかわらず、あえて前述のような日本批判を展開するのは、彼が習近平の顔色しか見ていないということにほかならない。
いま、習近平は「別格の指導者」を意味する「核心」という肩書で呼ばれている。政権ナンバー2の李克強首相でさえ、第12期全国人民代表大会(全人代)の演説の中で8回も習近平に言及し、「核心」の表現を連発したとされるほど“隷従”しているのだ。