ライフ

【書評】史上最強の高校野球部はなぜ廃部に追い込まれたのか

【書評】『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』/柳川悠二/著/小学館/本体1500円+税

【著者プロフィール】柳川悠二(やながわ・ゆうじ):1976年宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、出版社勤務を経て独立。本作で第23回小学館ノンフィクション大賞受賞。他の著書に『最弱ナイン』(角川書店)など。

【評者】鈴木洋史(ノンフィクションライター)

 史上最強の高校野球部に一体何があったのか? 去る3月29日、高校野球春の選抜大会の最中、PL学園高校野球部が大阪府高校野球連盟に提出していた脱退届が受理された。野球部は2015年度から部員募集を停止し、3年生だけで臨んだ2016年夏の府大会に負けた時点で事実上の廃部状態にあった。春夏合わせて甲子園96勝、優勝7度を誇り、プロ入りした選手81人。本書は、そんな名門が廃部に追い込まれた謎を解くノンフィクションだ。

 本書は、あまり語られたことのない創部の経緯から明らかにしていく。これが興味深い。PL教団の二代教祖御木徳近(事実上の初代)が教団を興したのは1946年。その数年後、教団も加盟する新日本宗教団体連合会で軟式野球対抗試合が開かれていた。

 野球好きだった徳近は当時の強豪立正佼成会に勝つべく教団内で野球を奨励し、後には硬式野球部を作り、都市対抗に出場した。ちなみに当時は産業別対抗で、PLの出場枠は百貨店部門だった。そうした経緯があり、1955年の学園創立とともに野球部も創部された。早くも1960年代前半から強豪校にのし上がり、やがて桑田真澄、清原和博らが活躍する1980年代の黄金期を迎える。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン