「人生の最期を一緒に過ごしたいという、打算のない愛を感じます。
熟年婚をする人の中には、『私があなたを看取ります』と言う人がいます。それは、お互いの人生の最期まで引き受けるという覚悟の表れ。死までを見据えた関係がそこにはあるのです。
阿川さんの場合もそう。60才を過ぎればひとりでいることの悲しみや寂しさを充分に知っている。その人たちがあえて『最期までふたりで生きよう』と決めた。慈しみ合いの極致ではないでしょうか」(黒川さん)
阿川さんは「週刊文春」に寄せた手記で、自身の死についてユーモアあふれる文章をつづっている。
《私の母ももはや来年九十歳。S氏の父上ももはや九十五歳の高齢者。いつまた喪中に突入するかわかったものではありませんし、そのうち私たち自身が「喪中」の対象になるのもさして遠い将来ではないでしょう》
介護どころの話ではない。来る死の影を見つめながら、ふたりは共に歩んでいる。
「男女の愛というより、もはや人間愛でしょう。本当におめでたいなという気持ちでおります」(黒川さん)
恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんもこう話す。
「恋愛や結婚に年齢は関係ない。阿川さんの結婚はシニア世代にとっても若い人にとっても、希望の光になったはずです」
阿川さんの「63才初婚」に見る夫婦愛の夢と現実…。
あなたは誰の言葉に共感しましたか?
※女性セブン2017年6月15日号