この三つの要求をトランプ大統領に突き付けられた首脳会談直後の習主席は、まるで「電気ショック」を受けたかのように呆然としていた。しかし、その後、トランプ大統領が議会やメディアに追い込まれ、支持率が低下していく中で、中国が一部の約束を履行している点が数少ない成果になるとして、むしろトランプ大統領のほうが中国になびいてきているように見える。
◆“中国版プラザ合意”の破壊力
トランプ大統領はツイッターで「北朝鮮問題で我々に協力している中国を為替操作国とどうして呼べようか」とコメントした。対中強硬派のピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)委員長の影響を受けていた当初の立ち位置から見れば、大幅な後退だ。
それでも米中経済交渉の行方は、中国に大きな影響をもたらす。
かつて日本は日米貿易摩擦でアメリカから、1960年代後半の繊維製品を皮切りに、合板、鉄鋼、カラーテレビをはじめとする家電製品、自動車、半導体などで輸出の自主規制や数量規制および超過関税、農産物(コメ、牛肉、オレンジ、サクランボ)で市場開放を求められた。もし、中国が北朝鮮問題でサボタージュしたら、アメリカはそれと同じやり方で中国に圧力をかけるだろう。二国間協議では、トランプのようなワイルドな大統領でなくてもアメリカの攻撃は執拗だ。日米貿易戦争に匹敵する米中交渉となれば中国経済が大打撃を受けることは間違いない。
一方、為替操作をやめろという要求に中国が応じれば“中国版プラザ合意”となる。