いまでは、氷代とモチ代はそれぞれ50万から100万円にすぎない。むしろ派閥の会費や主催パーティー券の発売も求められており、閣僚経験者になると200万円の割り当てが来たり、最高ランクの議員には700万を義務づける派閥もあるらしい。これでは派閥に魅力を感じず入会する若手議員も少なくなるというものだ。
それでも、麻生太郎の個人的な魅力で結束している為公会や、活性化を止めない二階俊博の志帥会など、いかにも古典的な自民党派閥に近い集団も存在する。志帥会は、選挙区の区割り調整で弱い立場に陥った議員らにとって、「駆け込み寺」のような存在になっている。
二階の統率力に注目する著者は、志帥会こそ旧田中派に近似していると指摘する。小泉純一郎から安倍晋三に至る清和会が何故権力を握り続けているか、数々の謎を解く分析も説得的である。
※週刊ポスト2017年6月23日号