東京大学文学部助教の武岡暢氏


 著書には、偽装結婚の手法から店側やブローカーとの“契約”の内容、普段の生活まで詳細に綴られている。彼女に頼まれて、暴力団関係者と思われるマネージャーのところへ契約の変更を直談判しに行ったこともある。

「頼まれたときは、心の中では、『マジかよ、勘弁してくれよ』とビビっていた。やっぱり、研究対象にするのと、男女の仲になるのは違いますね(苦笑)。出版後に『研究対象に手を出したら研究者失格じゃないか』と指摘もされました。たしかに一緒に暮らすようになってからは研究どころじゃなかった。ただ、当事者になって人生かけたギャンブルに出た結果です。それはわかってもらいたい」

 中島氏は博士課程には進まず、在野のフィリピンパブ研究家としてフリーライター活動を続けている。

◆続いて話は歌舞伎町へ

 一方、東大で、夜の歌舞伎町を研究フィールドに選んだ“学究の徒”もいる。街頭に立つ客引きや彼らを取りまく地域社会の構造を研究するのが、『歌舞伎町はなぜ〈ぼったくり〉がなくならないのか』の著者、東京大学文学部助教の武岡暢氏(32)だ。同氏は大学院修士課程の頃から、5年以上にわたって歌舞伎町研究を続けてきた。

「歌舞伎町を研究対象に選んだのは、“いかにも都市的な現象”を研究したいという思いがあったのと、誰もやっていなかったからという理由です。歌舞伎町というのは不透明な社会です。不透明というのは、一つは社会構造が不透明。どんな人、組織が関係を形作っているかがわからない。もう一つは、雑居ビルの中でどういう営業が行なわれているのか物理的に見えないという意味で不透明です。

 その不透明さによって、外から来る人にとっては予測がつかない街になってしまう。だから、“客引き”という仲介業者を置いて、店と客をつなぐということが歌舞伎町では非常に重要なのです」

関連記事

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン