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2017.06.16 16:00  週刊ポスト

歌舞伎町を研究する東大助教が感じた客引きの勤労倫理とは

東京大学文学部助教の武岡暢氏


 著書には、偽装結婚の手法から店側やブローカーとの“契約”の内容、普段の生活まで詳細に綴られている。彼女に頼まれて、暴力団関係者と思われるマネージャーのところへ契約の変更を直談判しに行ったこともある。

「頼まれたときは、心の中では、『マジかよ、勘弁してくれよ』とビビっていた。やっぱり、研究対象にするのと、男女の仲になるのは違いますね(苦笑)。出版後に『研究対象に手を出したら研究者失格じゃないか』と指摘もされました。たしかに一緒に暮らすようになってからは研究どころじゃなかった。ただ、当事者になって人生かけたギャンブルに出た結果です。それはわかってもらいたい」

 中島氏は博士課程には進まず、在野のフィリピンパブ研究家としてフリーライター活動を続けている。

◆続いて話は歌舞伎町へ

 一方、東大で、夜の歌舞伎町を研究フィールドに選んだ“学究の徒”もいる。街頭に立つ客引きや彼らを取りまく地域社会の構造を研究するのが、『歌舞伎町はなぜ〈ぼったくり〉がなくならないのか』の著者、東京大学文学部助教の武岡暢氏(32)だ。同氏は大学院修士課程の頃から、5年以上にわたって歌舞伎町研究を続けてきた。

「歌舞伎町を研究対象に選んだのは、“いかにも都市的な現象”を研究したいという思いがあったのと、誰もやっていなかったからという理由です。歌舞伎町というのは不透明な社会です。不透明というのは、一つは社会構造が不透明。どんな人、組織が関係を形作っているかがわからない。もう一つは、雑居ビルの中でどういう営業が行なわれているのか物理的に見えないという意味で不透明です。

 その不透明さによって、外から来る人にとっては予測がつかない街になってしまう。だから、“客引き”という仲介業者を置いて、店と客をつなぐということが歌舞伎町では非常に重要なのです」

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