〈私、大好きです、すばらしいチームをつくる人〉と長嶋監督を評した歌手の天地真理は、〈長島さんは明るい性格だから、明るいスポーツをしてくれさえすれば、当面、勝負にこだわらないように、と私は考えています〉とする。たとえ勝てなくても〈すばらしいチーム〉だったのである。

 その次のページからは、〈アンチ巨人の諸氏もいう「あの負けっぷりが気に入った!」〉と題して、“巨人嫌いが弱い巨人を好きになってくれたから、それを前向きに捉えよう”と訴える。記事中で阪神ファンのイラストレーター・山藤章二氏は〈長く苦しめば苦しむほど、強い巨人が出来るんじゃないかと思うのですよ。そして、強く成長した巨人を阪神が倒す。こんな楽しいことはないじゃありませんか〉と語っている。

 愛する巨人のため、複雑な論理構成に挑んでいる。8月2日号は〈特集 弱いジャイアンツに愛をこめて〉と見出しに打ち、〈ヤケクソ・フレーフレー座談会 いまからでも間に合う!巨人逆転優勝の妙手〉と題した座談会を開催。このとき、28勝43敗4分け、首位とのゲーム差10.5(8月2日時点)である。

 元総評事務局長・岩井章氏、参院議員・コロムビア・トップ氏ら豪華メンバーによる座談会では、足腰を鍛えさせるために、〈いっそ、巨人の選手に木登りをさせちゃおうか〉などと真顔で(?)語り合われている。1975年当時、「報知新聞」で長嶋番を務めていたジャーナリスト・柏英樹氏の話。

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