片山:創価学会の池田大作が山本伸一名義で作詞したり、天理教の中山みきが「お歌」を作ったり、遡れば親鸞の和讃もありますから、教祖が音楽を作るのは宗教の根幹的行為のひとつかもしれません。
けれど交響曲まで作るのは珍しい。交響曲はひとつの世界観の表現として発達した分野ですから。麻原彰晃はゴーストライターを使って、ひとつ極めたわけです。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
※SAPIO2017年8月号