歴史に残る優勝の代償は大きかった。翌場所から、貴乃花は7場所連続全休に追い込まれる。
「当時の貴乃花は角界の宝。休場が続いても、当初は“じっくり治せ”という声ばかりだった。しかし、全休が丸1年を超えたあたりから、横綱審議委員から苦言が呈されるようになった。当時の北の湖理事長も擁護しきれず、2002年9月場所に出場することになった」(ベテラン記者)
以降は優勝することはなく、2003年1月場所の9日目に現役引退を決めている。
今年の3月場所で、14日目に負傷しながら、千秋楽で大関・照ノ富士との優勝決定戦に勝って「奇跡の優勝」を果たした稀勢の里も、その代償として引退を早めることになるのではないか。ガチンコ横綱の苦しみを誰よりも知る貴乃花親方に、稀勢の里の今後がどうなるかを直撃した。
「頑張ってもらいたいが、状態がよくわからないから無責任なことはいえない」
慎重に言葉を選んでいることが窺えた。前例のない7場所連続全休も経験している貴乃花親方は、“思い切って長期間休む勇気”が必要と考えるのか。