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今夏、全国大会出場を決めたPL学園「軟式野球部」の物語

 住之江公園野球場に到着したのは、ちょうどプレイボールのタイミングだった。硬式の試合が行われる球場とは違い、同球場は両翼が90メートルで、バックスクリーンまで110メートルしかない。3塁側の応援団席は、興国の生徒や関係者で立錐の余地がないほど埋まり、一方、1塁側のPL学園応援席は、まばらにしか人がいない。

 試合は両校にヒットが出ず、7回途中まで両校エースが無安打投球。大きな動きもないまま終盤に入っていく。

 先に安打が飛び出したのがPL。7回裏に四球と中前打で無死一、二塁のチャンスを作ると、相手遊撃手のエラーで1点を先制。PLのエース・殿納遼生(とのう・りょう)は8回表に初安打を打たれるも、虎の子の1点を死守し、PLが4年ぶりに大阪の頂点に立った。

 試合終了から校歌が流れている間、PL学園を率いて32年目となる斉藤大仁監督(56)の目には涙があった。

「硬式野球部が廃部になったことを卒業生が悲しんでいます。私たち軟式野球部だけでなく、世界大会に出場するバトン部、男女がインターハイに出場する剣道部が頑張ることで、卒業生に明るい話題を届けたかった。関心を寄せてくださっている方々が、どれだけ喜んでくださっているかなと考えたら、自然と涙が流れました」

 PL学園に入学するにあたっては、両親共々、学園の母体であるパーフェクトリバティー教団の信者でなければならない。かつて全国から有望選手が集まってきていた硬式野球部の部員は、ほとんどがもともとの信者ではなく、入学にあたって両親と共に入信していた。一方、軟式野球部は信者の2世やPL学園中学から軟式野球に励んでいた生徒が集まってきていた。入学、入部までに信仰心の培われている軟式野球部員に比べ、どうしても硬式野球部員の信仰心は乏しい。それが廃部問題に影響したことは言うまでもないだろう。

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