また、自分の持ち家を、借家住まいの子供に相続させると評価額が8割減らせる、「家なき子特例」もある。
「制度をよく知り、自分の資産状況に最適な対策を考える。“メディアで紹介されていた方法だから間違いないだろう”“専門家がいっているから大丈夫だろう”という考え方をしていると、落とし穴にはまることになります」(大村氏)
自身の状況とそれぞれの相続税対策のリスクを鑑みて適切に判断する必要があるということだ。その意味においては、つい誘惑にかられる“自宅にこっそり現金を保管する”といったやり方も「やってはいけない対策」の典型といえる。
「税務当局を甘く見るべきではありません。預金口座から少しずつ現金をおろして自宅の金庫に隠しておこうとしても、その“タンス預金”の額が大きくなると『おろした資金に見合う資産購入などがない』と目をつけられ、税務調査の対象となりかねません。資産隠しは追徴税の対象ともなります」(大村氏)
家族に少しでも多くの財産を残すために、対策の“最適化”が必要なのだ。
※週刊ポスト2017年8月18・25日号