1ベッドが1泊15元、宿の環境は劣悪


 老白が持つ中古の格安スマホには『YY』がインストールされていた。ネットアイドル志望の素人女子が動画をライブ配信する中国アプリで、ユーザーは「推し」の相手に電子決済マネーを「投げ銭」して応援する。彼の健康状態や経済状況からして、そんなことをしている場合ではない気もするが「どうせ結婚できるわけもない」と話す人生の癒やしであるようだ。

 いっぽう、阿飛はスマホゲーム依存症である。

「住まいは1泊15元、数人が相部屋の安旅館。汚いベッドの上で10時間くらいスマホゲーをしている。1日に60元くらい課金されてしまうね。なんとなく時間が過ぎていくんだ」

◆“留守児童”の負の連鎖

 電子工場でスマホやパソコンの部品を作りつつ、稼いだカネはヴァーチャルな娯楽に吸い尽くされる電脳の奴隷──。そんな三和ゴッドは、自他ともに「自堕落」と呼ばれることが多い。

 だが、取材を重ねると別の側面も見えてくる。例えば、彼らは出稼ぎ農民の子弟が圧倒的に多く、学歴も大部分が中卒どまりだ。深セン在住の中国民主化シンパの男性(50歳)は話す。

「親が不在の環境で育ったため、欲求を我慢する、清潔で健康的に暮らすなど、本来は家庭で身につく当たり前の知識が得られていない。彼らは中国の社会格差の犠牲者に近いですよ」

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