山健組にははっきりした襲撃の動機がある。8月27日、任侠山口組が開催した二度目の記者会見である。
記者会見で任侠山口組のナンバー2・池田幸治本部長が読み上げた長文の声明は、井上組長を痛烈に批判していた。
「つまりは盃を下ろした側の、井上組長による悪政が、始まったわけであります」
「本来、我が子が組織の内外から認められれば、喜んで見せるのが親分のあるべき姿でありますが、逆に嫉妬し焼き餅を焼き、猜疑心の塊となるのが、井上組長の隠された本性であり……」
「井上組長自身の口から、信じ難い言葉の数々が次々と発信され、井上組長のその隠された、裏の人間性を残念ながら再確認せざるを得ない現状であります」
「結論として要約すれば、一昨年八月二七日に挙行した神戸山口組立ち上げは、山口組史上類を見ない『大型詐欺事件』であったという事です」(すべて当日配布された会見の文書より)
暴力団社会では、殺し合いになってもおかしくないほど激しい表現が並んでいるばかりか、「織田を殺る、織田を殺ると感情を、剥き出しにした上で」と、襲撃を挑発するような言葉まである。
会見の翌日、神戸山口組は幹部会(六代目山口組、および任侠山口組では、執行部会に当たる最高幹部会合)を開催したが、この記者会見は一切話題にならなかったらしい。マスコミに対しても神戸山口組は淡々としていた。