四横綱中ただ一人出場する日馬富士が優勝すると思われるが、高安の初優勝を期待するもよし。できれば高安には強い人(横綱)がばっちりいる場所で優勝してほしいというのが本音ではあるけれど、それは今後に持ち越そう。

 新入幕の朝乃山はなかなかのイケメン。宇良はとてもかわいい(スー女初心者の彼女を軽んじているわけではないが、相撲ぶりウンヌンを説明するより見た目のほうが取っ掛かりになりやすいだろう)。元気な若手もひしめいている。それにカド番大関豪栄道と照ノ富士がふんばれるかも気になる等々。

 二日目国技館で観戦していた私は、十両での安美錦と蒼国来の熱戦に「今日これ以上すごい相撲あるかな」と思った。しかし約一時間後に、ある意味ですごい場面に立ち会うことになってしまった。

 貴景勝に押し込まれた土俵際、宇良は右足一本でエビ反りになった。「アアそっちの足は!」と叫ぶ私の前で宇良はダメ押しされる前に自分から倒れ、自力で歩けず車椅子で退場した。

 貴景勝との対戦成績は一勝六敗で、苦手とする相手であった。宇良は七月場所で右膝を負傷していて、九月場所を休場したほうがいいのではないか、と勝手に心配した。だから出場すると知った時には、無理しないでやりすごせ、と思った。出る本人がそう思うはずはなく、貴景勝の攻めに屈しまいとした、あの右足で……。

 ショックのさめないまま、驚きは続いた。高安を押しまくって勝利した玉鷲の足の甲が最後に裏返ってしまったのは見たから、引きずっていたのには「捻挫したのかも」と納得した。しかし館内で見ていた分にはひねってももつれてもいない取組のようで、どう痛めたのかわからなかった高安が花道の途中から車椅子に乗った。土俵に戻り一礼し、花道の観客から見えなくなる位置まで真顔で居続けた高安に大関としてのプライドを見た。

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