プロ野球のリーグ3位でも日本一になれるチャンスがあるのがCS(クライマックスシリーズ)だ。そうはいっても、その“下克上”を成し遂げたのは2010年のロッテだけ。ところが、いまの巨人ならそれが可能だという説も存在する。
ファンの願望による絵空事だと笑えない裏付けもある。巨人はセ・リーグで唯一、10年連続CSに出場しているが、過去のデータをみると、阿部慎之助や村田修一はCSで好成績を残している。さらには、今年8月以降の成績ではせ・リーグ3位の巨人の成績(9月22日現在)は広島・阪神と比べても遜色ない。積み重ねていくと「巨人日本一」も何だか現実味を帯びてくる。
とはいえ、現実を見れば勝率5割そこそこの3位チームである。熱心な巨人ファンの中には「こんなチームで日本一になったりしたら選手もベンチもフロントも来季はさらに慢心する」「いっそCSになんて出ないほうが将来の巨人のため、球界のため」という声も少なくない。
今季の広島やソフトバンクは2位に10ゲーム以上の大差をつけた。CSの現行ルールでは1位チームに1勝のアドバンテージが与えられるが、どれだけ差を広げて優勝しても、それ以上増えることはない。
「CSなどというバカげたものは即刻辞めるべきだ」とカンカンなのは、巨人OBで“球界ご意見番”の広岡達朗氏だ。
「ヨーイ、ドンで1等賞を目指しているのに、3等までOKだと言われたら、誰も一生懸命走りません。“優勝するためには絶対にこのゲームを落とせない”という緊張感がいいプレーを生む。そのために厳しい練習をするわけでしょう。こういうバカなルールが監督やコーチ、選手にも悪影響を及ぼして、球界全体のレベルを押し下げている」