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ドラフト会議 ストライプ柄ネクタイが運命の分かれ道?

 さて注目は金本監督と工藤監督だ。この2人、なんと3巡目まで指名が競合。くじを引き合ったのだ。金本監督は両手の指であごを支え、その手を握って口に押し当てていた。指であごを支えるのは対抗心や批判的な気持ちがあるからだが、手を口に当てていたのは言いようのない不安を抑えようとしていたからだろう。対するソフトバンクの工藤公康監督は落ち着かな気に口元を動かし、この雰囲気は好きではないのだろう、唇を尖らしただけだ。

 すべての指名が終わった。ラミレス監督の表情が物語っていたようにDeNAは単独指名に成功。ラミレス監督の表情が和らぎ笑顔になる。一方、清宮選手で競合した7球団はくじ引きへと演台に登る。箱にくじが入れられると、初のくじ引きになる高橋監督は大きく身体を揺らし、工藤監督も身体を揺らした。責任の重さを感じているのだろう。彼らの顔はどれもが神妙だ。そんな中、最後から2番目に引いた金本監督は箱の中に左手を入れて苦笑い。最後の工藤監督は、残り物という感覚が拭えなかったのか、やや情けなさそうな顔でくじを引いた。

 交渉権を引き当てたのは、日本ハムの木田優夫GM補佐。その瞬間、金本監督は目を開け、身を乗り出しどこの球団かを確認。日本ハムの横に立っていた高橋監督は、わずかに上半身を揺らしただけで硬い表情のままだ。

 2巡目の指名、金本監督は左手で頬杖をついていた。仕草から、この状況が気に入らないことが読み取れる。面白くないというマイナス感情と、さてどうするかという困惑が入り混じっているようだ。工藤監督は眉間にしわを寄せ、ますます難しい表情だ。

 再び競合するとわかった途端、金本監督も工藤監督も上を向いて苦笑いした。期待が落胆に変わった瞬間だ。結果がどうであれ、運頼みとなると人は天を見上げることが多い。ゲンを担いだのか、今度は右手でくじを引いた金本監督。くじを開け、即座に左右を確認する金本監督とゆっくり確認する工藤監督。だが、ここでも2人に運は回ってこなかった。

 3巡目の指名が始まると、金本監督は頬杖をついた左手の上に、完全にあごをのせていた。その左の小指がわずかに動く。困惑を通り越し、不安と期待、緊張が心の中で葛藤している様子。あごに手を当てるだけでなく、手で支えるのは、葛藤する心を無意識が支えようとしていたとも思えるからだ。ここでも、2人はぶつかった。「あ~っ」声を出し、天を仰いで首を後に反らす金本監督。眼鏡をはずし、顔を触る工藤監督…。

 そして、3回目はまた左手でくじを引いた金本監督。工藤監督がくじを引くと、声を掛け合い笑った。権利を得たのは金本監督。席につくと、安堵からかようやく何度も手を握り直していたが、今度は工藤監督が右手で頬杖をついていた。

 さて、ドラフトではゲン担ぎがあると聞く。右手か左手か。チームや引く人によって伝統やツキがあるようだ。清宮選手を1発で引き当てた木田GMはさんまさんの助言を受けて左手でくじを引いたと話した。

 だが今回のドラフト、1巡目でくじを引き当てたのは、日本ハムの木田GM補佐に、広島の考市監督、そしてオリックスの福良淳一監督。左手か右手かの伝統より、そのネクタイを見ると色は違えど全員斜めのストライプ柄。今年のドラフト、最も縁起がよかったのは斜めストライプだったのかもしれない。

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