その前任で、番組視聴率に貢献していたと多くのスタッフが認めていた丸岡いずみ氏を含め、宮根キャスターとの軽妙なやりとりにより、どんどん“キャラづけ”されていき、各美人記者たちの人気が上がっているのは間違いないだろう。が、その宮根キャスターを特に喜ばせる酒席での座持ちの良さや、彼女たちの色とりどりな日常は、その昔は女子アナのそれではなかったか。
日テレだと、永井美奈子元アナはその最たる存在で、ネットワーキングに余念がなく、レセプションやパーティーにも頻繁に顔を出していたことから「影武者が居るのではないか」とのウワサがあったほど。彼女のアイディアが採用された化粧ポーチが商品化されたこともあった。
こういう元気が良くてガツガツしたタイプの女子アナは、日テレに限らず、いまはほとんど見当たらない。そのうえ、自局の看板ニュース番組のセンターに座りたいというような野望も女子アナからは聞かれなくなって久しい。
その代わり、日々、報道の現場で鍛えられてきた美人女性記者は、どんどん活躍の場を広げ、コメントや解説はもちろん、ニュース読みにも強い説得力をもち始めている。
このたび『3秒で心をつかみ10分で信頼させる聞き方・話し方』を上梓した小西美穂氏のキャリアの軌跡も、ものすごい。今年6月から夕方の報道番組『news every.』でコメンテーターを務めている小西氏。前任の小栗泉氏が政治部長兼解説委員となり、代わって小西氏がやってきたのである。
元々は読売テレビの社員で、報道記者として阪神・淡路大震災などを取材。大平光代弁護士の『だから、あなたも生き抜いて』書籍化のきっかけとなる密着ドキュメンタリー番組制作にも関わった。
01年から3年間、ロンドン特派員。アメリカ同時多発テロ後の中東情勢をリポート。帰国後、政治部記者を経て、06年、日本テレビに入社するのである。誰が言ったか、「女・辛坊治郎」。切り込みの鋭さは「女・田原総一朗」とも揶揄された小西美穂氏。
羨望からか、「彼女の野心はすごい」「私にはできない」という女性の声が全くなかったわけではないし、件の『ミヤネ屋』出演者らより一世代上の小西氏が渡り歩いて来た報道畑は、いまよりも顕著な男社会でもあった。恐らく男性からの嫉妬もあったに違いない。
だが、持ち前の明るさと度胸の良さ、見え隠れする“関西のおばちゃん”キャラ、そして何より、取材力と伝える力が評価され、『NEWSリアルタイム』や『ズームイン!!サタデー』などに出演。
13年、『深層NEWS』のメインキャスターとなるのだ。BS日テレの番組ながら、開始直後から「古舘伊知郎の『報道ステーション』(テレビ朝日)から数字を持ってきている」とも言われていた人気番組。その初代メインキャスターが小西美穂氏だったのである。