スポーツ

角居勝彦調教師 競走馬のストレス解消方法について語る

角居調教師が馬のストレス解消法について語る

 2017年の競馬シーズンも残りわずか。激戦を戦い続けているオープン馬はさぞ疲労がたまっているはず。彼らにとって癒やしの時というのはあるのだろうか。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、競走馬にとってのストレスについてお届けする。

 * * *
 今回は馬の疲労回復法についてです。人間は睡眠が唯一最大のリフレッシュ法ですが、馬はぐっすりと眠るわけにはいかない、という話を前回しました。睡眠の前段階として、いかにリラックスできるか。メンタルな安らぎが馬には必要です。

 一番はなんといっても放牧。競走馬は強いストレスから胃潰瘍になりやすく、重症になると飼い葉も食べられなくなる。そんな馬を北海道の放牧地に行かせると、ウソのように元気になります。

 緑の放牧地で青草を食べて、草原で走るというのが、馬にとっての最高のストレス解消なんですね。うちの厩舎でいえば、デニムアンドルビーがそうでした。真面目で頑張りすぎる優等生タイプが、ストレスを多く抱えるようです。

 もちろん、のんびり過ごすだけではなく、軽い乗り運動ぐらいは行ないますが、空気感が違うので馬にとっては居心地がいい。広大な風景に接すると、人間だって気持ちがよくなるでしょう。

 ローテーションの関係で放牧がままならない場合は、近隣の外厩に出します。トレセンのピリピリした雰囲気から解放されるだけでも、だいぶ違うと思います。

 日常生活でも、ストレスを与えないように、住み慣れた場所、馬房を快適にしてやる。馬が嫌がることを、極力排除する配慮です。人間の動きを整えます。夕方、一斉に仕事を終わらせ、馬房から人間たちが出て行く。馬は突発的な音を気にするので、なるべく人の気配を消すのです。

関連キーワード

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン