先述した3人の一番の共通点は何か。それは出身地がすべて同じであるということだ。徳永は、大阪府吹田市、中村は寝屋川市、楠見は和歌山と、関西の出なのである。
朝ドラの各作品は、東京と大阪それぞれの放送局で、半年交互に作られる。大阪制作の朝ドラは、おのずと関西弁が劇中に出てくる物語が多くなるが、今回の『わろてんか』も大阪制作。方言指導の手もそれほど借りずに関西弁を話せるというのは、起用する側からみても大いに助かるのだろう。
◆「商人の街」大阪制作の朝ドラでは、脇役は「女中役」を演じることが多い
今回、徳永、楠見ともに同じ女中役を演じているが、特に楠見は、同じ大阪制作の『あさが来た』でも女中頭“かの”を好演。風吹ジュン演じる白岡よのと会話しているときの相槌「ほんに、ほんに~」のセリフで一躍脚光を浴びた。
さてここで、最近、大阪放送局が作った作品をいくつか挙げてみる。『べっぴんさん』『あさが来た』『ごちそうさん』…。実はそのどれもが、大阪の商家育ちのヒロインが、女中や番頭に見守られながら育っていくという物語であることがわかる。これは、もともと大阪が商人の町ということもあり、それを基軸としているストーリーが選ばれやすい傾向にあることによる。つまり、大阪制作の朝ドラには女中役が欠かせないということになる。
そんな一見簡単に思われる女中役だが、ヒロインと絡むことも多々ある。そんなとき、きちんと芝居ができつつも、ヒロインの演技を食わずに、むしろ引き立てる存在でなければならない。そうなると、やはりある程度経験を積んだ女優が必要になってくる。常連は呼ばれるべくして呼ばれているのだ。
◆ほかにもいる「隠れ朝ドラ女王」