ライフ

外山滋比古氏 「AIを使う側で老人が知恵を生かす出番」

『老いの整理学』を上梓した外山滋比古氏

【著者に訊け】外山滋比古氏/『老いの整理学』/扶桑社文庫/600円+税

 大正12年生まれの94歳。空前のロングセラー『思考の整理学』(1983年・現在114刷)等で知られるお茶の水女子大学名誉教授・外山滋比古氏には、つい最近、また新しい友人ができた。

「彼はうちのマンションのオーナーで、まだ70代かな。実に博識で話題豊富だから、近頃は毎朝、散歩帰りに彼と議論するのが、楽しくて」

 視力や聴力こそ多少衰えたものの、今なお動くところは全て動かす〈五体の散歩〉を欠かさない賢人は、先日文庫化された『老いの整理学』について訊く間も政治や科学、文化芸能まで興味の赴くまま話を進めた。〈忘れるがカチ〉〈ゆっくり急げ〉〈華麗なる加齢〉等々、その思考術は一貫した逆張り。世間や常識の類を悉く疑い、むしろそれらを裏返した逆転の発想に、新たな知恵を見出そうとする。

 老いも未知の局面である以上、生き抜くには新たな知恵が必要だ。新しいこと、変わることを、真の知性は何ら恐れないのである。

「最近は北朝鮮のミサイルの話でメディアは連日大騒ぎだけど、僕に言わせればAIの方がずっと脅威でね。先日の大手銀行の人員削減計画なんて、あれは事務方がやってきた仕事はAIにやらせますという排除宣言でしょ。18世紀の産業革命で排除された労働者はオフィスにまだ逃げこめたけど、そのオフィスすら追われた人間は何をすればいいのか、誰にも妙案がないんです」

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン