それでも、同社が成功した最大の理由が給与レベルを世界化したことにあるのは間違いない。同社の競争相手はルーターではシスコシステムズ、通信設備ではエリクソンやノキア、スマートフォンではアップルだ。これらのグローバル企業に対抗していくために、ファーウェイは給与レベルを大きく引き上げて世界から最先端の優秀な人材を集めてきたのである。

 また、ファーウェイの人事制度は社員の5%が定期的に淘汰されるという。しかし、私が在籍していたマッキンゼーの場合は毎年社員の20%ずつに転職指導していたから、まだ甘い。ファーウェイには「45歳退職説」もあるそうだが、これもリクルートの事実上の38歳定年制から見れば、厳しいとは言えない。それでも大半の日本企業に比べたら、ファーウェイのシステムがグローバルスタンダードに近いことは確かである。

 実は、私は20年以上前に深センのファーウェイ本社を訪れたことがある。その時に瞠目したのは、全社員のうちエンジニアが約8割もいたことだ。しかも、会社の隣にアメリカ風の立派な一戸建てをたくさん作り、将来有望なエンジニアの社宅にして厚遇していた。

 それを見て私はいち早く「もし、中国から世界化する会社が登場するとしたら、第一号はファーウェイだろう」と予言した。その当時からファーウェイはグローバル企業になる基礎条件を備えていたのである。

※週刊ポスト2018年1月12・19日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン