最大の理由は、やはり芸能人をめぐる不倫報道と、それに対する世間の厳しい目線。この2年間、数えきれないほどの不倫報道があり、世間の嫌悪感情が高まる一方でした。そんなムードの中、かつてのように不倫を“甘美で切ない純愛”として描くと、放送局としても、主演女優にしてもバッシングのリスクが高いのです。

 実際、スル妻を主人公に据えた『あなたのことはそれほど』では、主演の波瑠さんに対するバッシングが殺到し、本人が「しょうもないとか馬鹿とか最低とか言われても、観て感想を抱いてもらうっていうことで私は報われるような気持ちです」「私は美都には共感できないけど、毎日やらなきゃ仕方ない」と釈明のようなコメントを発表する異例の事態に発展しました。

 以降も、週刊誌による不倫報道と世間の処罰感情はいっこうにやむ気配がなく、さらに女優本人と役柄を混同してクレームを入れる人が一定以上いたことで、「少なくともプライムタイムのドラマでは避けたほうがいい」というスタンスになっているのです。

 また、視聴者にとってドラマのスル妻は、「自分は不倫しないけど、作品の中だけで妄想するファンタジー」であるのに対して、サレ妻は「『もしかしたらウチもありえるかも』と感じる、それなりのリアル」。前者が不倫の加害者であるのに対して、後者は被害者であり、現在の風潮を踏まえると、視聴者は被害者側に立って見るほうが安心して楽しめるのでしょう。

 ただ、小室哲哉さんと小泉今日子さんをめぐる不倫報道から、世間の処罰感情が緩和しはじめているだけに、今夏以降の方向性は不透明。しばらくは不倫を“甘美で切ない純愛”として描く可能性は少ない気がしますが、サレ妻ばかりでは飽きられてしまうだけに、再びスル妻が主人公を飾る作品は生まれるでしょう。

◆サレ妻が演技派・仲里依紗の力を引き出す

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン